第一章 国立大学医学部受験前に知っておくべきこと Part 1 

私の息子は地方国立大学の医学部に2年浪人の末に合格、6年後に無事医師国家試験にも合格、2年間の初期研修医期間も終了、2022年春から後期研修医となりました。

国立大学の医学部に合格することがどんなに大変なことであるかは、息子が高校2年の時に医学部を受験すると言いだしたときは全く予想できないことでした。

これから国立大学医学部を受験しようとされる受験生ならびにその御両親に国立大学医学部合格には何が必要であるか、少しでも御参考になればと思い、筆をとることにしました。

まず、国公立、私立によらず、医学部を受験することがどういうことかを知って頂きたいことが3点あります。

 第1点は医学部の募集人員、第2点は医学部の受験生の数、第3点は私立大学の医学部の学費です。

これらはいずれも息子が受験を決めてから知ったことですが、本人だけでなく、親もこの現実をよく知っておく必要があると思います。

まず第1点は募集人員です。

特に東京近郊でお住まいの方に知って頂く必要があることは東京、神奈川、千葉で家から通える国公立大学医学部を選ぼうとすると東大、千葉大、横浜市立大の3大学しかなく、3大学の医学部の募集人員は3大学合わせても3百人あまりという現実です。

東京近郊の国公立大学医学部へ行こうとすると全国から受験しにくるトップの医学部受験生の上位3百人に入らないと合格できないという厳しい現実です。

東京大学の入学人数がすべての学部合わせて、一学年で約3,000名、京都大学のすべての学部の入学人数が約2,500名、計5,500名ですが、日本全国の国立大学42大学の医学部の入学人員は何人でしょうか?

日本全国には国立42大学に医学部がありますが、入学定員総数は4,934名で東京大学、京都大学すべての学部を合わせた入学者より少ないのです。

早稲田大学のすべての学部の入学定員は9,000名、慶応大学のすべての学部の入学定員は6,000名、計15,000名ですが、日本全国の私立30大学の医学部の入学定員は何人でしょうか?

日本全国の私立30大学の医学部の入学定員は8,923名で早稲田大学、慶応大学すべての学部を合わせた入学者より少ないのです。

東京大学、京都大学、早稲田大学、慶応大学すべての学部の入学定員は総数20,500名ですが、日本全国の国立大学42大学、私立大学30大学に加えて、公立大学8大学の医学部の定員728名を加えると、日本全国の国公立私立すべての医学部定員は14,585名となりますが、上記4大学のすべての学部の入学定員より少ないのです。

何故、医学部の募集人員はそんなに少ないのでしょう?

それは、医学部の入学者数は国が定めており、国立大学医学部では一学年の人数が120名前後、私立では300名弱ですが、大幅に増えることはカリキュラム上ない為です。

私は神奈川県に住んでいるので、息子が家から通える国公立大学医学部を選ぶと、やはり、東大、千葉大、横浜市立大 3大学となり、息子は同じ神奈川県の横浜市立大学を最初は目指しました。

息子はセンター試験の結果をうけて、地方国立大学に切り替えましたが、いまでもそれは賢明な選択であったと思います。東京、神奈川、千葉に在住の受験生で、国公立の医学部を目指すのであれば、いつまでも近所の国公立大学にこだわることは賢明なことではないと思います。

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第ニ章 国立大学医学部受験前に知っておくべきこと Part 2

第一章では医学部受験生が知っておくべきこと三点のうち、まず、第1点の医学部募集人員について書かせて頂きましたが、第二章では第2点の医学部の受験生の数、第3点の私立大学の医学部の学費です。医学部の受験生の数、私立大学の医学部の学費、浪人時代に行った予備校、使った参考書、他ご参考になることについて書かせて頂きます。

先に医学部の募集人員について書きましたが、次に医学部の受験生の数、私立大学の医学部の学費について書きます。

第2点 医学部の受験生の数

今は浪人して大学へ入ろうとする学生は非常に少ないですが、医学部は全く別です。

現役生に加えて、浪人生がいるだけでなく、”再受験組”と呼ばれる東大や地方の国立大学や早慶を卒業した後に、地方の国立大学の医学部を再受験をしてくるいわゆる

学卒というグループがいます。

息子が今通学している大学でも、2浪、3浪は珍しくなく学卒も相当いるそうです。

医学部受験生は現役、浪人、学卒3者と競争してゆかねばなりません。偏差値だけでなく、倍率の壁があるわけです。

第3点 私立大学の学費

これは医学部受験生のご両親は皆、知っていますが、国立大学の医学部と私立大学の医学部の学費には信じられない差があり、私も最初は知りませんでした。

普通の学部であれば、国立大学の学費は平成29年現在、年間53万円で私立ですと文系、理系の多少の違いはありますが、それが2倍~3倍になりますが4倍以上になることはないです。

一方、医学部の場合、国立の学費は他学部と同じ53万円ですが、私立ですとそれが年間350万円~800万円、国立の約7倍から15倍となります。

これは普通のサラリーマン家庭ではとても払えない金額となり、子供を私立大学の医学部へ入れる選択肢はなくなる訳です。

もう一つ付け加えますと医学部の受験料も私立の普通の学部と違います。普通の学部ですと受験料は3万円ですが、私立の医学部の受験料は倍の6万円です。

私の息子の医学部受験は試行錯誤の連続でした。息子は3つの予備校を使いましたのでそれぞれについてご説明させて頂きます。

息子は現役では東進、一浪のときは駿台、2浪のときは河合塾の3つの予備校に通い3つの予備校に通いました。これから順番にご説明してゆきたいと思います。3つの予備校についてもアドバイスができると思います。

第三章では現役の時の受験、第四章に1浪時の受験、そして第5章に2浪の時の受験、合格についてご説明させて頂きます。

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第三章 – 現役時代

息子は中高一貫の私立に通っていましたが、5年間音楽部に所属して毎日練習に明け暮れ、高校2年には部長をしていましたので、予備校に通う時間がなく、東進をネットで受講していました。東進がよいのは何時でも好きな時間に家で勉強ができることです。

最初の医学部受験は群馬大学医学部の推薦入試でした。5年間部活動をやっていたということでそれを評価してくれるのではという淡い期待があり、内申点はギリギリでしたが、推薦を受けられる五段階評価で4.6にあることがわかり、思い切って受験させましたが、結果は不合格でした。

推薦にも勿論筆記と面接の試験があります。推薦はセンター試験がない代わりに英語、数学、理科の試験があり、それは息子には歯が立たなかったようです。

その後、現役では同じ群馬大学を前期、後期は信州大学の医学部を受験しました。現役のときのセンター試験は平均77%でした。この得点でとても国立大学を受験できる内容ではありませんでしたが、当時息子も親もわかりませんので、そのまま受験しました。結果は無残で、前期後記ともに足きりをうけて、二次試験を受けれませんでした。

現役のときは防衛大学医学部、産業医科大学、私立は帝京大学医学部とセンターで昭和薬科大学も受験しました。防衛大学医学部、産業医科大学は一次で落ち、全滅かと思っていたところ、3月末に帝京大学医学部から繰り上げ合格の通知が電話できました。

学費の関係で帝京大学医学部へ行くことは考えていませんでしたが、この繰り上げ合格がなかったら息子はその後、医学部受験をあきらめていたかもしれません。

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第四章 – 1浪時代

現役で前期、群馬大学、後期 信州大学へ願書を出しましたが、いずれもセンター試験の結果足切りとなり、3月に入り早々に予備校に行くことを決め、駿台予備校の横浜校へ入ることを家内と息子が決めてきました。

家内と息子は駿台予備校横浜校には横浜市立大医学部合格コースがあり、それが気に入り、横浜校が家から比較的近いという理由で、家内と息子は横浜校に決めました。

医学部だけを受験する浪人生むけの駿台予備校は市谷校舎があり、河合塾は麹町校があります。人によるかもしれません、駿台横浜校には医学部以外の難関国立大学の理系の受験生もいて、すべて同じ目的をもった学生があつまっている訳ではないので、同じクラスの人と親しくなるのは難しいかもしれません。

息子は2浪時代は河合塾の麹町校へ行きましたが、麹町校は同じ目的の浪人生同士で話もしやすく、友達もたくさんできたようです。

駿台予備校のテキストは最小限のことが書かれていて、テキストには問題と解答しかないので、特に数学は予習で自分の解法を考えていかないとなりません。息子はよく予習をして授業に臨んでいたようです。

今も同じかどうかは知りませんが、駿台予備校は座席が決まっていて、早く教室に入っても遅く入っても席は確保されています。平等といえば平等ですが、河合塾の麹町校の場合は席はきまっていないので、特にやる気のある生徒は早くきて前に座ることができます。

息子は夏休みの前は好調に飛ばしていましたが、夏休みあけから現役生、特に私立の中高一貫校の生徒が受験に的をしぼった勉強をしてきますので、同じだけ勉強をしていても、これら現役生以上に勉強しないと偏差値は相対評価で下がってくることになります。ということで秋からは息子もかなり苦労したようです。

息子は一浪では、私立の医学部は産業医大以外は受けず、防衛医大と国立大学医学部にしぼった受験をしました。

息子の医学部受験を振り返りますと国立大学医学部の受験はとにかくセンター試験がすべてです。センターですべてが決まる。これにつきます。

センター試験で平均80%以上とれないと、どこの国立大学医学部も受けれないという厳しい現実があります。一浪でうけた2回目のセンター自己試験結果は平均78%でしたが、旭川医科大学だと国語の点数が圧縮されて、同大学がセンターで求めている全科目の平均が80%までUPすることより、駿台予備校のクラス担任と相談して、旭川医科大学を受験することを決めました。

息子は一浪の時も本当によく勉強した、本当によく頑張ったと思います。しかし、残念ながら力及ばす、2浪することになりました。

私は非常に厳しいことですが、息子には2浪まではOKだがそれ以上の浪人はできないと伝え、2浪で受からなかった場合に医学部以外の行く大学学部を書いてもらいました。また、2浪してからは比較的学費が安い私立の医学部(といってもいずれも非常に高いですが)を受験することを認めました。私立の医学部を併願することを認めた背景には私の大学時代の友人からのアドバイスもありました。

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第五章 – 2浪時代 そして合格

2浪時代と国立大学医学部合格迄について書かせて頂きます。息子の二浪が確定したのは2013年3月に旭川医科大学の二次試験の合格発表で名前がなかった時ですが、その直後の週末に私は家内と息子3人で河合塾麹町校、駿台市谷校の見学に行きました。

1浪の時は駿台の横浜校に通っていましたが、息子は同じ校舎でもう一年通う気はありませんでした。私も家内もそうだと思い、今度は医学部受験生しかいない校舎で勉強したほうがよいだろうという点で一致し、二つの校舎を見て、息子は河合塾麹町校へ行くことを決めました。

そのあとで息子に私から言ったことがあります。3回目の受験では比較的良心的な学費の私立大学の医学部も受けてよいが、2浪して受験日までに合格できるレベルに学力が到達しなかったら、医学部はあきらめて、医学部以外の学部も受けるよう、その候補も書いて提出してほしいと言いました。

言い換えると、3つの選択肢、Plan Aは国立大学医学部、Plan Bは私立大学の医学部、Plan Cは医学部以外で受験する大学の医学部医学の学部をあげ、昨年はPlan Aのみであったが、今回はPlan Bを認める代わりに、受験までにPlan A, Plan Bに合格できるレベルの学力がつかなかった場合はPlan Cも何かを明確にしておいてほしいと2浪が決まった時点で息子に伝えた訳です。

これは親にとっても息子にとっても本当に厳しい通達でしたが、普通のサラリーマン家庭の我が家にとっては、受かるまで何年でも浪人OKという訳にはゆきませんので、息子に覚悟してもらう意味もありました。息子はそれを伝えた日、夜3amまでかけてPlan Cのリストを書いてきました。そのリストをいまでも私は持っています

その後、息子は2浪中、河合塾で毎日予習、復習をとにかく真面目にやり、後半数学の成績が上がりました。数学の成績があがったのは河合塾のチューターさんによれば、とにかくわからない点を誰よりも河合塾の数学の先生に聞いていたそうです。又、河合塾では友達ができて、よく情報交換をしていたようです。

翌年の1月18日、19日のセンター試験では1日目の英語、社(倫社・政経)はともに88%、国語では出ないといわれていた源氏物語が出題された為、56%と痛い目にあいますが、2日目は数I 90%, 数IIB 96% 化学は満点、生物93%でリカバリーして、全体では84%でした。

センター試験の後は1月23日に順天堂大学の一次試験を受験させました。家内は順天堂大学は難しいので受験しても意味はないのではと言っていましたが、私は河合塾の模擬試験で一度B判定が出たことがあるのと、順天堂大学は息子が得意な英語の配点が高いので、英語で点数を稼げれば合格する可能性があると思ったからでした。結果的に1月29日に順天堂大学の一次試験の合格が分かり、一番驚いたのは家内でした。

その後、1月31日に昭和大学医学部の一次試験、2月2日は順天堂大学の2次試験でした。息子は順天堂大学の2次試験の面接で大変つかれた様子で、帰宅するなり、3時間以上寝ていました。後で聞くと結構な圧迫面接だったようです。

順天堂大学の受験の後、どこの国立大学を受けるかをきめて、家内は願書を提出しました。

2月5日に昭和大学の一次試験の合格が分かりました。私立の医学部はPart 2でも書きましたとおり、年間350万円~800万円、6年間で2100万円~5000万円の学費がかかることから、正直なところ、普通のサラリーマン家庭で実際に進学することは無理がありましたが、センター試験と国立大学の医学部の2次試験の間にはずいぶん時間がありますので、試験慣れしておくという意味で、その間に私立大学の医学部1~3大学を受けていくことは意味があると思います。受験料だけでも普通の大学の3万円の倍、6万円かかりますから、無制限に受ける訳にはゆきませんが。

ただし、私立大学医学部の2次試験が終わり、合格が確定した後、国立大学の2次試験の前に一次納入金の支払いが必要となる入学手続きの締め切り日がきますので、私立大学の入学手続きをするかどうか決めておく必要があります。もちろん、その時点で国立大学に合格する補償はないですから、家族とよく話しをして、国立大学二次試験の前に親として私立大学医学部の入学手続きをするかどうかを決断する必要があります。

2月16日には産業医大の一次試験も受けました。同大学は北九州にある大学ですが、東京で受験が可能です。

2月24日、25日には地方国立大学医学部の二次試験があり、家内が息子氏に付き添いました。受験、進学した大学名を書くのは控えさせて頂きますが、息子はよく頑張り、2次試験の感触はよかったようです。

その後、3月7日に国立大学医学部の合格が決まりました。息子にとっては高校時代+2年間の浪人でしたが、本当によく頑張ったと思います。

息子は6年間の医学部での勉強の後、2年前に医師国家試験に合格し、2年間の初期研修も終えて、2022年春から後期研修が始まりました。

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